スケールモデルに込めたアメリカへの情熱
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こんにちは、おじさん64年式です。
私の人生において、切っても切り離せない「趣味」があります。それはスケールモデルの製作。特に1/24や1/25スケールのカーモデル。そして自分の好きなクルマたちが最も輝く場所「アメリカの風景(ランドスケープ)」をジオラマで再現することです。そして私がかつて立ち上げ、現在は世界へと羽ばたいた小さな模型ブランドDoozy Modelworks(ドゥージー・モデルワークス)の物語です。
「風景」の欠片を求めて。無いなら作るしかない

アメリカのストリートを再現しようとしたとき、主役であるクルマはキットとして手に入ります。しかし、その脇を固める「日常の景色」はどうでしょうか。
ジェネラルストアの店先に無造作に置かれた新聞販売機、どこか無骨なジュースの自販機。あるいは路傍に立つ公衆電話や消火栓、ヴィンテージなガソリンポンプ…。
私にとってジオラマとは、ただクルマを置くベースではありません。そこにある「光や風、匂いまで漂ってくるような空気感」を切り取ることです。しかし、当時の市場にはこれらアイテムのアクセサリーはほとんど存在しませんでした。
売ってないのなら、自分で作るしかない
そこから私の挑戦が始まりました。手元にあるのは断片的な資料と写真だけ。2次元の画像からサイズを割り出しディテールを読み取り、3次元のレイアウトとして構築していく。それはデザインの仕事にも似た緻密でワクワクする作業でした。
Doozy Modelworksの誕生と「狂気」のこだわり


自分で作るうちに、ふと思ったのです。「自分と同じようにアメリカの風景を作りたいけれど、パーツが無くて困っているモデラーが他にもいるのではないか?」と。その思いがカタチになり、個人メーカーとしてDoozy Modelworksを立ち上げたのは2011年のことでした。
やるからには妥協はしたくない。商品の選定はもちろん、原型の製作、質感、パッケージのデザイン、さらには「これなら作れる」と思ってもらえる組立説明書の作成まで。すべてをひとりでデザイン事務所を営むような感覚でこなしていきました。
ドラム缶、ゴミ箱セット…ラインナップが増えるたびに自分の頭の中にあった「理想のアメリカ」が現実の製品になっていく喜びがありました。活動した約5年間、マニアックな模型ファンや雑誌などでも話題になり、高い評価もいただきました。しかしあまりにもニッチな世界。正直に言えばビジネスとして成功したとは言えませんでした。
ですが、その「狂気」とも言えるこだわりを評価してくれたのがスペインの世界的な模型メーカー「AK Interactive」でした。現在、Doozy Modelworksの製品は彼らに受け継がれ、私の企画した製品以外にも独自でラインナップを増やし、今では世界中の模型店に並んでいます。
刷り込まれた「アメリカ」の原風景

なぜ、私はここまで「アメリカの小物」に執着するのか。ガソリンポンプや古びた看板、あのマットで褪色した独特の質感を再現することに、今でも胸の奥が震えるほどの感動を覚えます。他人から見れば「変わってる」と言われるかもしれません。
そのルーツを辿ると、若い頃に夢中で見た『ロックフォードの事件メモ』や『白バイ野郎ジョン&パンチ』といったアメリカのTVドラマに行き当たります。画面の隅々に映り込んでいた、なんてことのない街角の風景。それらが「自由でカッコいいアメリカ」の象徴として、私の脳裏に深く刷り込まれていたのです。それはもう理屈ではありません。私にとっての「原風景」だったのです。
「好きなもの」のパワーは果てしない
一人のモデラーの「欲しい」という情熱から始まったDoozy Modelworks。 「好き」を突き詰めた結果、それは海を越えブランドとして生き続けることになりました。
振り返ってみて思うのは、「好きなもの」が持つパワーは、果てしないということです。
たとえそれがどんなにマニアックなものであっても、情熱を注いでカタチにすれば誰かの心に届く。そしてその情熱が自分自身を想像もしなかった遠い場所まで連れて行ってくれる。
今でもいろいろなところでアメリカンなアイテムを見るたびに、あの頃のワクワクが蘇ります。私の模型人生はこれからもあの「刷り込まれた風景」を追いかけ、小さな世界に命を吹き込み続けていくのでしょう。

by おじさん64年式